仏教由来の言葉一覧 挨拶や出世など解説付きで紹介

私たちが普段何気なく使っている言葉、 その中に仏教由来の言葉が混ざっていることにお気付きですか?

いつの間にか定着してしまった言葉たちですが、 元の意味を知りながら使っている人は少なくなっていますよね。

調べてみると、仏教由来の言葉は非常に多いのです。今回は、その中の一部を紹介していこうと思います。

日本での仏教の歴史は長いですからね。その影響でしょう。

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

挨拶

まず最初は「挨拶」です。漢字から意味が読み取れないのに定着している言葉ですね。

「挨」は押すといった意味で、 「拶」は迫る・進む・近づくといった意味があります。

仏教では、 お坊さん同士が出会った時に「押し問答」でその人の悟りの深さを測ったりをしていたようです。

それを「挨拶」と呼んでいたらしく、 そこから今日の「挨拶」の由来となりました。

出世

日本語の意味としては、 「地位が上がること」や、 「いい身分に付く」といった意味がありますね。

仏教では、 「出世間(しゅっせけん)」という言葉があります。

煩悩だらけの世間から出て悟る といった意味なのですが、 そういった人として一つ上の世界に昇るということから、 今の「出世」という言葉の由来になりました。

愛嬌

日本語の意味としては、 「好感が持てる顔(笑顔など)や雰囲気」を指しますね。

仏教では、 少し漢字と読み方が違い「愛敬(あいぎょう)」と言いますが、 仏、如来、菩薩の柔和な・穏やかな表情を表します。

その仏教での「愛敬(あいぎょう)」が愛嬌の由来です。

安心

「安全だが安心ではない」 といったフレーズが豊洲の件で話題になりましたね。

頻繁に使用する言葉だと思いますが、 「心が安らいでいる」ことといった意味ですね。

仏教では、「安心(あんじん)」と言い、 恐怖や不安などから解放されて、心安らかになる境地のことだそうです。

その仏教での「安心(あんじん)」が、今日の安心の由来です。

玄関

これも当然よく使う言葉の一つで、 「建物の入り口」のことですね。

仏教だと、 元々は「玄妙の道に入るための関門」といった意味だったようですが、 そこから寺の入口を「玄関」と呼ぶようになり、 それが一般家庭まで広まったのが由来です。

上品・下品

日本語の意味としては、 「品が良いこと⇔悪いこと」を指しますね。

仏教では、 「九品(くほん)」という極楽往生を9段階に分けた考えがあります。

上から、

上品上生(じょうぼんじょうしょう)

上品中生(じょうぼんちゅうしょう)

上品下生(じょうぼんげしょう)

中品上生(ちゅうぼんじょうしょう)

中品中生(ちゅうぼんちゅうしょう)

中品下生(ちゅうぼんげしょう)

下品上生(げぼんじょうしょう)

下品中生(げぼんちゅうしょう)

下品下生(げぼんげしょう)

とあり、 上の方がよい階位とされています。

また、仏にも九品仏というのがあり、 そこから「上品・下品」の言葉の由来とされています。

醍醐味

現在の意味としては、 「物事の一番面白いところ」といった意味がありますね。

仏教用語では、 「最上の教え」といった意味です。京都には「醍醐寺」という非常に紅葉が綺麗な寺もあります。

それが今日の醍醐味の由来となりました。

旦那

旦那って漢字からどんな意味かがわかりませんよね。今は主に「夫婦の男性側」のことを指します。

また、落語や時代劇で「ちょいと旦那」みたいなセリフを聞いたことがありますよね。

仏教では、「檀那」と書きます。あるお寺に属し、 お布施をしてそのお寺の財政を支えている人たちのことを「檀家」と呼びますが、 その言葉もここからきています。

元は「布施」を意味するサンクスリット語の「ダーナ」という言葉が由来です。。つまり、金銭に限らずですが、 「施しをしてくれる人」のことを言います。

そう考えると今の時代、 共働きの家庭が非常に多く、 「旦那」という言い方をするのは少し不適切かもしれませんね。

実際には、旦那、主人、夫、嫁、妻、家内・・・ とそれぞれの意味をわからずに使用している人も多いので、 違和感を感じることもないためあまり気にしないでもいいかもしれませんが…。

頑張る

現在の意味は、 「努力すること」「力を発揮すること」です。

これは仏教の「我張る」という言葉からきています。

現在は頑張るというのは、いい意味で使われることが多いですが、 元々は「我」を張って自分本位に生きるのはよくありませんよ、といった意味でした。

今はよく使われる「頑張る」ですが、いつの間に変化していったのでしょうね。

由来とは違った意味となることも、少なくないのが由来を調べる面白さの一つでもあります。

学生

現在の意味は、学校に通っている生徒のことを指しますね。

仏教では、「学生(がくしょう)」と読みます。

意味もそこまで変わっておらず、仏教以外を学んでいる人のことです。

経営

現在の意味は、経済的なことを営むことを指しますね。

仏教では、「自分の人生をどう営むか」という意味になります。

深いですね。

知事

現在の意味は、都知事や府知事などの都道府県の統括・首長的な立ち位置の人のことです。

仏教での意味は、そのままで事を知ることです。

少しづつ事務的な役職のことを指すようになり、現在の意味となりました。

億劫

現在の意味は、何かをするのに気が進まず、面倒に感じることです。

仏教では、非常に長い時間を意味する「劫」という時間の単位からきています。

「劫」というのは、100年に一度だけ天女が舞い降りて羽衣で岩山を撫で、

その岩山が摩擦で消滅するまでの時間のことです。

とてつもなく長い時間ですね。その単位が億です。

本来の意味を知ると、さすがにそこまで面倒じゃないと思えますよね。

迷惑

現在の意味は漢字の通り、迷い戸惑うことです。

仏教では、自分の仏道が見つけられずに迷い戸惑ってしまうことだったんですね。

それがいつしか仏教とは関係なく、迷い戸惑うという意味だけになりました。

アバター

現在の意味は、SNSやゲームなどネット関係の自分の分身となるキャラのことを指します。

仏教では、神や仏の化身を意味します。

身近に使用するようになった言葉ですが、本来は中々凄い意味だったんですね。

仏教由来の言葉は多過ぎる

どうでしたか? 仏教と現在の言葉、本当によく使う言葉が多く、非常に繋がりが深い気がしますよね。

他にも、内緒、ひどい、利益、喫茶、無事、人事、差別、工夫、食堂・・・など、 一見関係なさそうな言葉も仏教が由来だったりするんです。

他にも沢山あるので、一度調べてみてはいかがでしょうか。言葉の本来の意味を知ることで、考えが豊かになればよいですね。

当ブログでは他にも、こういう記事を書いています。

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