ゆとりの学力低下は嘘なのか?様々なデータから分析してみた

新人が入社してくることが多い4月。 現代の若者叩きの代表格として、「ゆとり世代」というのがありますよね。 やれ「ゆとりは無能」「ゆとりは自分勝手」などと言われていますね。

それに「ゆとり教育は学力が低い」という声もあるほどです。 はたして、実際はどうなのでしょうか? 色々と調べてみたことをまとめてみようと思います。

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

ゆとり世代とは

「ゆとり世代」とは、何年生まれの人たちを指すのでしょうか?

ゆとり教育

世間一般の認識では、 「ゆとり世代」とはゆとり教育を受けた世代の人を指しますが、 「ゆとり教育」には段階があります。

ゆとり教育は、 知識重視型の教育方針を詰め込み教育であるとして学習時間と内容を減らし、 経験重視型の教育方針をもって、ゆとりある学校をめざし、 1980年度、1992年度、2002年度から施行された学習指導要領に沿った教育のことである。

ゆとり教育は、2002年度から施行された学習指導要領による教育であるが、 1992年度から施行された新学力観に基づく教育、および1980年度から施行された教育もゆとり教育であると定義する人もいる。

とあるように、実際には段階があるのです。

しかし、 世間で言われている「ゆとり世代」は2002年度から施行されたものを指すことが多いため、 当ブログでは、その段階を「ゆとり教育」とし「ゆとり世代」とします。

つまり、1988~1996年度生まれになります。

その中でも、 小学1年生~中学3年生まで完全に「ゆとり教育」だったのは1995年度生まれです。

1995年度生まれの芸能人ですと...。 有名どころは、タレントのりゅうちぇるや、乃木坂46の生駒里奈、モデルの小松菜奈、モデルの橋本愛ですね。

何が違うのか

「総合的な学習」という教科が追加になりました。

自らがテーマを考えて行動するといった趣旨で、 英語が好きな生徒は英語学習をしたり、 歴史が好きなら歴史について普段の授業ではわからないことを調べたりできます。

基本的には、基本の教科に当てはまらないようなことを行う時間です。

この時間の目的は「生徒自らが自分の興味のあることをテーマにして自ら学習すること」です。

しかし現実には、 その目的とは少しかけ離れているように思えます。

というのも、実体験を例に出しますが、 私の公立学校では「先生が決めたテーマ」に取り組む時間でした。

小学校で一番覚えているのは、 「地産地消」について調べ、その内容を新聞にするというもの。

中学校では、 「地域で働いている人」について取材をしてそのことをパワーポイントで発表する、というものが一番記憶に残っています。

テーマとしては社会性もあり面白い内容ですが、 「テーマが決められている」ことが問題点だと思っています。

ゆとり世代の学力低下について

ゆとり世代は学力が低いといううわさがありますが、 その根拠をご存知ですか?

ゆとり世代について理解の深い人は、 世間一般で言われている「ゆとり世代」の学力が低いとは考えないと思います。

学力低下の噂のそもそもの根拠となった学力テスト

日本数学学会が、 京都大学や慶應義塾大学などのトップ大学生に 小中学校レベルの数学(算数)のテストを実施したそうですが、 その結果が酷かったようで、「ゆとり教育のせいで学力が低下した」というのが広まったのです。

しかし、このテストが一体いつ行われたかご存知ですか?

実は1998年、1999年に行われていたのです。

つまり、 世間一般の「ゆとり世代」に向けて行われたテストではないのです。

それ以前からの「ゆとり教育」を叩いていたんですね。

2002年以降の「ゆとり教育」の学力

では、 肝心の2002年以降の「ゆとり教育」を受けた「ゆとり世代」はどうでしょうか?

PISAという国際的なランキング形式の学力調査があるのですが、 これによると、日本は2000年~2006年で順位が下がっています。

この結果から、「ゆとり世代は馬鹿」という意見もあります。

それにPISAの対象は、15歳です。

ということは、 一番順位が下がっていた2006年に15歳だった世代は 、おおよそ4年間しか「ゆとり教育」を受けていません。

ですが、 2009年にPISAを受けた世代はそれよりも3年多く 「ゆとり教育」を受けているにも関わらず、順位が上がっているのです。

このことから、 一概に学力低下が「ゆとり教育」にあるとは言えないでしょう。

そもそも学力低下の基準は何なのかが曖昧

そもそもですが、 学力低下とは何を指しているのでしょうか?

私は、 昔の人よりも今の人の方が出来ることは多いと思いますし、 効率もいいと思っています。

PCスキルを例に出しますが、 昔は調べものするのにも本で調べるなどしていましたよね。

ですが、 今は当たり前のようにネットで調べることが可能です。

書類作成もPCの方がはるかに効率がいいでしょう。

あくまでツールの性能が上がっただけですが、 それを使いこなす技術は、慣れ親しんでいる世代の方が強いでしょう。

私自身、 若い世代に負けると思っています。

つまり、 使えるものを利用して補うということを考えると、 若ければ若い世代ほど優秀だと思うのです。

それに大学入試の「問題自体の難易度」は昔と比べて上がっているようです。

世代が新しくなれば、 問題を難しくしないと正答率が上がりすぎてしまいます。

ただでさえ、 人数が減り倍率が下がっていますからね。

そう考えると、 学力というのは何を基準にするべきかがわかりませんよね。

新しい時代の方が優れているのは事実

野球であれば、 昔の人に160kmのボールが投げられましたか?PCを使える人は、 昔に比べて増えていませんか?

オリンピックの記録は 新記録が出続けますよね?

スポーツでも仕事でも、 確かに昔のその時代では凄かったんでしょう。

今であれば、 野球でメジャーで大活躍の二刀流大谷選手や、 男子フィギュアスケートで驚異の記録を出して続けている羽生選手、 最年少棋士でありながら、最多勝利の藤井聡太七段など、 わかりやすく若者が活躍しています。

しかし、これからも更にすごい人たちは現れるでしょう。今の時代に凄かった人が、 新世代にとって凄いかどうかはわかりませんし、比べようがないのです。

勉強も同じで、昔の基準で新世代を測るのではなく、 現代として、 そして個人として見ることによって、色んなものが見えてくるのではないでしょうか。

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