下痢、軟便が続く原因は? ヨーグルトや納豆で治らないのは何で?
FODMAP(フォドマップ)という言葉をご存知でしょうか?
下痢、軟便が続いて悩んでいる大人は多いことでしょう。
整腸作用のあるビフィズス菌や乳酸菌、納豆菌などがいいと聞いて、ヨーグルトや納豆を毎日食べているのに、一向に良くなる気配がない。
そのような方にぜひ知っていただきたいのが、FODMAP(フォドマップ)。
慢性的な下痢、軟便の方にぜひオススメの知識です。
この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
FODMAP(フォドマップ)とは
ヨーグルトや納豆は、元々は整腸作用の効果が高いことで有名です。
しかし、過敏性胃腸炎(IBS)などの慢性的な下痢、軟便の方にとっては食べてはいけない物だったんです。
でも、具体的には何を食べてよくて、何を食べてはダメなのかがわかりませんよね。
その食べてはいけない栄養素を分類分けしたものが、FODMAP(フォドマップ)なんです。
「F(fermentable)」「O(oligosaccharides)」「D(disaccharides)」「M(monosaccharides)」「A(and)」「P(polyols)」の頭文字からきています。
意味としては、
(fermentable)・・・発酵性の
(oligosaccharides)・・・オリゴ糖
(disaccharides)・・・二糖類
(monosaccharides)・・・単糖類
(polyols)・・・ポリオール
です。
つまり上記5つの単語は、発酵性の4種の糖類、ですね。
間に入る「A(and)」は、ただの接続詞です。
このFODMAP(フォドマップ)が少ない食材(低FODMAP食)が、食べてもよいもの、いうことになります。
逆にFODMAP(フォドマップ)が多い食材(高FODMAP食)が、食べてはいけないと言われるのですが、いったいどんな食材が該当するかわからないですよね。
実際に細かく紹介する前に高FODMAP食一覧表と低FODMAP食一覧表を作りましたので、印刷するなりしてキッチンにでも置いておくとよいでしょう。
高FODMAP食一覧表
穀物類 | 大麦、小麦(パンや麺類、洋菓子などの小麦製品全般)、ライ麦 | |||
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野菜 | ねぎ、たまねぎ、にんにく、にら、アスパラガス、芽キャベツ、カリフラワー、マッシュルーム、すいか、ゴーヤ、ごぼう、ドライフルーツ、とうもろこし(種は低FODMAPなので、ポップコーンは低FODMAP) | |||
豆類 | ひよこ豆、黒豆、そら豆、大豆(きな粉も同様)、小豆、いんげん豆、さやえんどう、なた豆などの豆類 | |||
いも類 | さつまいも、タロイモ、キャッサバ | |||
果物 | りんご、杏子、アボガド、マンゴー、もも、すもも、洋梨、レーズン、いちじく、梅、柿、グアバ、グレープフルーツ、さくらんぼ、ざくろ、梨、ライチ、干しぶどう、プルーン、ブラックベリー | |||
肉類 | チョリソー、ソーセージ、加工肉 | |||
種実 | カシューナッツ、ピスタチオ | |||
乳製品(ミルク含む) | 牛乳、ヨーグルト、豆乳※注1、ヤギ乳、羊乳、ライスミルク、クリームと名の付くもの(生クリーム、カスタードクリーム、アイスクリーム、クリームチーズ、サワークリーム)注※3 | |||
調味料 | キャノーラ油、わさび、トマトケチャップ、バーベキューソース、カレーソース、固形スープの素(ブイヨンなど)、てんさい糖、オリゴ糖、はちみつ、バルサミコ酢、りんご酢 | |||
その他 | カッテージチーズ、リコッタチーズ、エナジードリンク、ココナッツウォーター、カレー、絹ごし豆腐、きのこ、固形スープの素、発酵食品(キムチ、漬物、ザワークラウト、納豆など)、人工甘味料(ソルビトール、キシリトール、イソマルツロース、パラチノース、マニトール、マルチトール、エリスリトールなど)、コーンシロップ(果糖ブドウ糖液糖)、コンデンスミルク(加糖練乳) |
低FODMAP一覧表
穀物類 | 米、オーツ麦、キノア、とうもろこし粉、オートミール、オーツ麦、ポッポコーン(とうもろこしは高FODMAPだが、ポップコーンは種なので低FODMAP)、コーンミール(とうもろこしが原材料だが低FODMAP)、タピオカ | |||
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野菜 | もやし、たけのこ、ブロッコリー、人参、セロリ、ズッキーニ、なす、ピーマン、かぼちゃ、トマト、カブ、大根、オクラ、かぶ、キャベツ、ケール、白菜、ホウレン草、生姜、紫蘇、チンゲン菜、海苔、レンコン、レタス、パセリ、ラディッシュ、エシャロット、パクチー、バジル | |||
豆類 | 枝豆、こんにゃく芋(こんにゃくの素) | |||
いも類 | じゃがいも | |||
果物 | バナナ(熟して糖分が高くなると高FODMAP)、ベリー類(イチゴやブルーベリーなど※注1)、柑橘系(グレープフルーツは高FODMAP)、ぶどう※注2、キウイ、パパイヤ※注2、パイナップル※注2、スターフルーツ、パッションフルーツ、ドリアン | |||
肉類 | 牛肉、鶏肉、豚肉、ラム肉 | |||
種実 | アーモンド、チアシード、ピーナッツ、ケシの実、ゴマ、ひまわりのタネ、ウォールナッツ、オリーブ、きび、くるみ、栗 | |||
乳製品(ミルク含む) | バター、マーガリン(牛乳を含まないもの)、アーモンドミルク、カマンベールチーズ、チェダーチーズ、カッテージチーズ、モッツァレラチーズ、ゴルゴンゾーラチーズ、ブリーチーズ、パルメザンチーズ、ゴーダチーズ | |||
調味料 | オイスターソース、ウスターソース、オリーブオイル、グラニュー糖(粉砂糖)、米酢、ビネガー、上白糖、しょうゆ、オイスターソース、メープルシロップ、コーンスターチ(とうもろこしが原材料だが低FODMAP) | |||
その他 | 魚介類全般、チョコレート、アーモンドアイスクリーム、大麦若葉の青汁、カレー粉(スパイスのみのもの)、ココア、ココナッツクリーム、タコス、ビーフン、フォー、香辛料(スパイス)、卵 |
FODMAPの成分について
正直なところ、これだけ記載しても全て載せきれているわけではありません。
大事なのは、FODMAPの意味と成分です。
一つ一つ説明していきます。
F(fermentable):発酵性
糖質には、消化液と反応して発酵するものがあるんですね。
その発酵性の糖質が4つあります。
O(oligosaccharides)オリゴ糖:ガラクトオリゴ糖、フルクタン
少糖類とも呼ばれるオリゴ糖は、ビフィズス菌などの腸内悪玉菌を増やす効果があることが知られていますが、過敏性胃腸炎(IBS)の人には下痢や軟便を悪化させる要因になります。
ガラクトオリゴ糖は食物繊維が豊富な穀物類や豆類に多く含まれていて、フルクタンは、たまねぎやにんにくなどの香りの強い野菜に含まれています。
D(disaccharides)二糖類:乳糖、ラクロース
乳糖不耐症の人は、そもそも牛乳やヨーグルトなどの乳糖が多く含まれている食品を採るとお腹を壊しやすくなりますよね。
乳糖はラクトースとも呼ばれます。牛や羊、ヤギなどの乳を飲むのはNGです。
M(monosaccharides):単糖類、果糖
はちみつや、フルーツなどに多く含まれる果糖も、過敏性胃腸炎(IBS)にとっては悪い影響を与えてしまいます。
単糖類の中では、果糖(フルクトース)よりもグルコース(ブドウ糖)の方が腸に優しいです。
P(polyols):ポリオール
ポリオールは、パッと見で何のことかわからないと思いますが、おもに人工甘味料のことです。
ガムやダイエット飲料などに含まれているキシリートールやソルビトールなどが対象です。
ほかにもきのこ類が対象になります。マンニトールなどの人工甘味料は、元々はきのこなどに含まれている甘味物質なんです。
発酵食品は基本的に避ける
発酵食品は身体にいいことが有名ですが、過敏性胃腸炎(IBS)の人は避けましょう。
便秘などには効果が高いのですが、その効果の高さが逆効果になることもあるのです。
甘いものも避けよう
基本的に、糖分がNGであることはわかったかと思います。
過度に甘い物は、過敏性胃腸炎(IBS)にとっては消化しきれません。
生の乳製品は避けよう
乳製品は食べてよいかどうか迷うと思います。
基本的には、生の乳製品を避けていれば大丈夫です。
チーズも柔らかいチーズはNGだと思っておけばほとんどは大丈夫です。
肉は、加工品ではなくそのままが良い
肉類で高FODMAPとされているのは、どれも肉そのままではなく加工品ですね。
可能であれば、肉は加工品ではなくそのままを食べましょう。
大豆の加工食品では、木綿豆腐としょうゆが低FODMAP
大豆抽出物から作る豆乳が日本にはないため、木綿豆腐としょうゆが大豆加工食品の中で低FODMAP食となります。
納豆や絹ごし豆腐、きな粉などは大豆を使用しているので、身体には良いのですが、高FODMAP食に分類されてしまいます。
甘いものが欲しければ、果糖や人工甘味料ではなくグルコースを選ぼう
たとえば、イチゴよりもメープルシロップの方が甘いにもかかわらず、メープルシロップは低FODMAPですよね。
これは、イチゴが果糖なのに対し、メープルシロップはグルコースなんです。
ですので、どうしても甘さが欲しいときはグルコースが多めの食材を使うようにしましょう。
そして、カロリーゼロなのに甘みがある商品(ガムやゼロカロリーコーラなど)が最近多く出回っていますが、それには人工甘味料が使用されています。
誰にでも良い食材は存在しない
身体と食事というのは不思議なもので、元々の体質、環境、状況やタイミングによって、身体に良かったり、逆に悪かったりすることもあります。
いくら研究結果が証明していても、自分自身に合うかどうかは試してみるまでわかりません。
いきなり全ての食生活を変えるのは難しいですし、一度に辞めてしまったら何が原因なのか特定ができません。
低FODMAP食で健康な胃腸を目指すのであれば、少しづつ試してみるのがよいでしょう。